新幹線の喫煙ルームの廃止を求めた訴訟
および関連する出来事についての年表

作成・半沢一宣

訂正
2021年2月15日:2020年11月8日以降分の誤りを訂正しました。
2021年9月28日:2020年7月1日の出来事について追記しました。
2022年10月14日:2022年4月1日の出来事について追記しました。

 

2004年
(平成16)

5月31日
(月曜日)

一般社団法人・禁煙推進学術ネットワークが、JR旅客6社へ、鉄道施設内の完全禁煙化を求める最初の要望書を送付。以後、2005(平成17)年2月10日付で2回目の、2006(平成18)年9月28日付で3回目の要望書を、それぞれ送付

2006年
(平成18)

3月17日
(土曜日)

JR北海道が道内相互発着の特急列車の完全禁煙化を実施(座席で喫煙できる車両を廃止し喫煙ルームを設置しない全車禁煙化。津軽海峡線を通って本州へ直通する列車を除く)

2007年
(平成19)

3月18日
(日曜日)

JR東日本が新幹線と在来線特急列車の完全禁煙化を実施(座席で喫煙できる車両を廃止し喫煙ルームを設置しない全車禁煙化。JR東海またはJR西日本のエリアへ直通する一部の列車と寝台列車を除く)

2007年
(平成19)

7月1日
(日曜日)

JR西日本とJR東海が、東海道〜山陽新幹線で喫煙ルームを設置した車両(N700系16両編成)の運行を開始

2008年
(平成20)

7月15日
(火曜日)

禁煙推進学術ネットワークが、JR旅客6社へ、鉄道施設内の完全禁煙化を求める4回目の要望書を送付。半沢は、この回から要望書の作成に協力するようになった
このうちJR西日本宛【甲1号証】とJR東海宛【甲11号証】でN700系の喫煙ルームの問題点についても言及。この要望書に対するJR西日本からの回答書が【甲2号証】、JR東海からの回答書が【甲12号証】で、両社とも喫煙ルームの廃止には応じず

2008年
(平成20)

12月1日
(月曜日)

JR西日本が、山陽新幹線で500系8両編成(編成短縮と全席禁煙化に伴い喫煙ルームを設置する改造を行った車両)の運行を開始

2009年
(平成21)

3月14日
(土曜日)

JR九州が在来線のすべての特急列車の喫煙ルームを廃止し全列車完全禁煙化を実施

2009年
(平成21)

6月1日
(月曜日)

JR東海とJR西日本が在来線のすべての特急列車の喫煙ルームを廃止し全列車完全禁煙化を実施(寝台列車を除く)

2009年
(平成21)

日付は
未確認

JR九州が、2011(平成23)年から運行を開始する山陽〜九州新幹線直通運転用車両(N700系8両編成)に喫煙ルームを設置することを発表

2010年
(平成22)

6月5日
(土曜日)

禁煙推進学術ネットワークが、JR旅客6社へ、鉄道施設内の完全禁煙化を求める5回目の要望書を送付。このうちJR西日本宛【甲3号証】、JR東海宛【甲13号証】、JR九州宛【甲21号証】で、N700系の喫煙ルームの問題点についても言及。この要望書に対するJR西日本からの回答書が【甲4号証】、JR東海からの回答書が【甲14号証】、JR九州からの回答書が【甲22号証】で、各社とも喫煙ルームの廃止には応じず

2011年
(平成23)

3月12日
(土曜日)

JR西日本とJR九州が、山陽〜九州新幹線で喫煙ルームを設置した車両(N700系8両編成)の運行を開始
JR四国がすべての特急列車の喫煙ルームを廃止し全列車完全禁煙化を実施。これによりJR旅客6社の在来線昼行特急列車は全列車完全禁煙となった

2011年
(平成23)

8月10日
(水曜日)

禁煙推進学術ネットワークが、JR旅客6社へ、鉄道施設内の完全禁煙化を求める6回目の要望書を送付。このうちJR西日本宛【甲5号証】、JR東海宛【甲15号証】、JR九州宛【甲23号証】で、N700系の喫煙ルームの問題点について再度言及。この要望書に対するJR西日本からの回答書が【甲6号証】、JR東海からの回答書が【甲16号証】、JR九州からの回答書が【甲24号証】で、各社とも喫煙ルームの廃止には応じず

2012年
(平成24)

3月17日
(土曜日)

JR西日本が、山陽新幹線で700系8両編成(車両愛称:レールスター)の完全禁煙化(座席で喫煙できる車両を廃止し喫煙ルームを設置しない全車禁煙)を実施

2013年
(平成25)

2月6日
(水曜日)

禁煙推進学術ネットワークが、JR旅客6社へ、鉄道施設内の完全禁煙化を求める7回目の要望書を送付。このうちJR西日本宛【甲7号証】、JR東海宛【甲17号証】、JR九州宛【甲25号証】で、N700系の喫煙ルームの問題点について再度言及。この要望書に対するJR西日本からの回答書が【甲8号証】、JR東海からの回答書が【甲18号証】、JR九州からの回答書が【甲26号証】で、各社とも喫煙ルームの廃止には応じず

2015年
(平成27)

3月14日
(土曜日)

北陸新幹線の長野〜金沢間が延伸開業。うち長野〜上越妙高間がJR東日本、上越妙高〜金沢間がJR西日本エリア。車両は共通設計のJR東日本E7系とJR西日本W7系を使用し、全列車を喫煙ルームの設置が無い完全禁煙で運行

2019年
(令和元)

8月6日
(火曜日)

半沢が「のぞみ138号」に乗車中、三次喫煙を巡って隣席の客とトラブルになる。このトラブルの再発防止のため喫煙ルームの廃止を求める文書を、8月11〜13日に関係3社へ送付。このうちJR西日本宛が【甲9号証】、JR東海宛が【甲19号証】、JR九州宛が【甲27号証】。これに対するJR西日本からの回答書が【甲10号証】、JR東海からの回答書が【甲20号証】、JR九州からの回答書が【甲28号証】で、各社とも喫煙ルームの廃止には応じず

2019年
(令和元)

12月10日
(火曜日)

半沢が、JR西日本・JR東海・JR九州の3社を相手取り、新幹線列車内の喫煙ルームの全廃などを求める訴えを、東京地方裁判所へ提起する。事件番号は「令和元年(ワ)33338号」

2020年
(令和2)

1月27日
(月曜日)

東京地方裁判所にて第1回口頭弁論が開かれる。
担当は川ア学裁判官。
半沢は『保健師ジャーナル』2019年2月号pp.105〜112所収記事「受動喫煙の健康影響に関する最新情報」(大和浩・著)を【甲29号証】として提出。
被告3社は原告と全面的に争う旨の答弁書を提出

2020年
(令和2)

2月14日
(金曜日)

半沢が【準備書面(その1に相当)】を提出

2020年
(令和2)

2月27日
(木曜日)

JR九州がプレスリリース「駅の全面禁煙実施について」を発表。在来線では全駅で喫煙ルーム等を廃止し完全とする一方、熊本駅の新幹線ホームと鹿児島中央駅の新幹線改札内コンコースとの2ヶ所の喫煙ルームだけは引き続き存置するとの内容

2020年
(令和2)

3月14日
(土曜日)

JRグループがダイヤ改正を実施。東海道〜山陽新幹線で700系16両編成の営業運転を終了したことにより、座席で喫煙できるいわゆる喫煙車が全廃となる(夜行寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」では室内で喫煙できる個室寝台が残る)

2020年
(令和2)

3月23日
(月曜日)

東京地方裁判所にて第2回口頭弁論が開かれる。この開廷前に、半沢が【準備書面(その2に相当)】と【甲30〜34号証】を提出

2020年
(令和2)

4月1日
(水曜日)

東京地方裁判所での担当裁判官・書記官が交代。
新しい担当裁判官は藤永かおる氏

2020年
(令和2)

5月9日
(土曜日)

半沢が【準備書面(その3に相当)】を提出

2020年
(令和2)

5月20日
(水曜日)

新型コロナウィルス問題の影響で、6月8日(月)に予定されていた第3回口頭弁論の期日を取り消す決定が出される

2020年
(令和2)

6月1日
(月曜日)

被告側が【準備書面(1)(2)】および【乙1〜4号証】を提出

2020年
(令和2)

7月1日
(水曜日)

JR東海が新型車両「N700S」の営業運行を開始。既存のN700系・N700Aと同様、喫煙ルームを設置。ただし3号車と15号車ではそれぞれ2箇所あった喫煙ルームの海側(太平洋・瀬戸内海側)の区画が、いずれも業務用室(テロ対策用備品の倉庫)兼授乳室に変更される

2020年
(令和2)

7月13日
(月曜日)

半沢が【準備書面(その4・5)】と【甲35〜40号証】を提出

2020年
(令和2)

8月16日
(日曜日)

半沢が【準備書面(その6・7)】と【甲41〜48号証】を提出

2020年
(令和2)

11月8日
(日曜日)

半沢が【準備書面(その8・9)】と【甲49号証】を提出

2020年
(令和2)

11月26日
(木曜日)

東京地方裁判所にて弁論準備手続が開かれる。被告側は、半沢が準備書面で請求していた求釈明について「回答する必要は無い」と答弁。また被告側は、健康増進法で言う「受動喫煙」の範囲にいわゆる三次喫煙を含むか否かを争点に挙げ、2021(令和3)年1月末を目処に意見書を提出したい意向を示す

2020年
(令和2)

11月28日
(土曜日)

半沢が【準備書面(その10・11)】を提出

2021年
(令和3)

1月27日
(水曜日)

被告側が【準備書面(3)】を提出

2021年
(令和3)

2月14日
(日曜日)

半沢が【準備書面(その12)】を提出

2021年
(令和3)

3月1日
(月曜日)

東京地方裁判所で第3回口頭弁論が開かれる。半沢が「のぞみ138号」の車掌に対する証人尋問の実施について質問したところ、藤永かおる裁判官は「被告側が事実関係については争わないと言っているので尋問を実施する必要は無いと考えています」と回答。半沢と被告側に双方の主張が出揃ったことを確認したのち、判決言い渡し期日を5月10日(月曜日)に指定する

2021年
(令和3)

5月10日
(月曜日)

東京地方裁判所の藤永かおる裁判官が、原告(半沢)の主張をすべて退ける、原告側全面敗訴の判決を言い渡す

2021年
(令和3)

5月20日
(木曜日)

半沢が東京地方裁判所へ控訴状を提出。東京高等裁判所での担当が決まるまでの暫定的な事件番号は「令和3年(ワネ)第1107号」

2021年
(令和3)

6月18日
(金曜日)

東京高等裁判所での控訴審の担当が決まる。控訴審での正式な事件番号は「令和3年(ネ)第2607号」、担当裁判長は鹿子木康(かのこぎ・やすし)、裁判官は大西勝滋(おおにし・かつしげ)、田原美奈子(たはら・みなこ)

2021年
(令和3)

7月1日
(木曜日)

半沢が東京高等裁判所へ控訴理由書を提出

2021年
(令和3)

8月19日
(木曜日)

半沢が【準備書面(その13・14)】と【甲50〜63号証】を提出

2021年
(令和3)

8月26日
(木曜日)

JR東海とJR西日本が、新幹線列車内のビジネス環境整備の一環として、2022年3月から16両編成列車の7号車の喫煙ルームを会議室に改装することを発表。2022年3月以降、喫煙ルームは3号車・10号車・15号車の3ヶ所となる

2021年
(令和3)

8月30日
(月曜日)

半沢が【準備書面(その15・16)】と【甲64〜66号証】を提出

2021年
(令和3)

9月7日
(火曜日)

JR3社が答弁書を提出

2021年
(令和3)

9月9日
(木曜日)

半沢が【準備書面(その17)】を提出

2021年
(令和3)

9月14日
(火曜日)

東京高等裁判所で控訴審第1回口頭弁論が開かれる。JR側は半沢が提出した【甲66号証】などに対する反論について検討するための期間として11月初め頃までの猶予を請求。これを受けて裁判所が次回口頭弁論の期日を11月30日(火曜日)に指定しただけで閉廷。半沢が議題とするよう請求していた、JR側が半沢からの求釈明に対して未だ応じていない問題については取り上げられなかった

2021年
(令和3)

11月1日
(月曜日)

JR3社が【準備書面(4)】と【乙5〜7号証】を提出

2021年
(令和3)

11月14日
(日曜日)

半沢が【準備書面(その18)】を提出

2021年
(令和3)

11月30日
(火曜日)

東京高等裁判所で控訴審第2回口頭弁論が開かれる。鹿子木康裁判長は、裁判官の構成が変わったことへの了解を半沢とJR側の両方から取り付けると直ちに結審を宣告し、判決言い渡し期日を2022(令和4)年1月25日(火曜日)に指定しただけで閉廷。半沢が議題とするよう再度請求していた、JR側が半沢からの求釈明に対して未だ応じていない問題については、今回も取り上げられなかった

2022年
(令和4)

1月25日
(火曜日)

東京高等裁判所の鹿子木康裁判長が、半沢の主張をすべて退ける、控訴側全面敗訴の判決を言い渡す

2022年
(令和4)

2月4日
(金曜日)

半沢が東京高等裁判所へ上告状兼上告受理申立書を提出。上告が正式に受理されるまでの間の暫定的な事件番号は、上告提起が「令和4年(ネオ)第101号」、上告受理申立が「令和4年(ネ受)第111号」

2022年
(令和4)

2月11日
(金曜日)

東京高等裁判所から半沢へ上告提起通知書と上告受理申立て通知書が届く

2022年
(令和4)

3月31日
(木曜日)

半沢が【上告理由書】と【甲67〜74号証】を提出

2022年
(令和4)

4月1日
(金曜日)

JR九州が代表取締役の人事異動を行う

2022年
(令和4)

6月23日
(木曜日)

JR西日本とJR東海が代表取締役の人事異動を行う

2022年
(令和4)

9月9日
(金曜日)

最高裁判所第2小法廷が、半沢の上告を受理せず棄却する決定を行う。民事訴訟法で定める上告要件(憲法違反、判例違反、手続違反のいずれか1つ以上が存在すること)を満たしていないためとされ、草野耕一裁判長、三浦衛裁判官、岡村和美裁判官の3名全員一致の意見。これは最高裁が、下級審において、望まない受動喫煙を避けたい国民に対して受動喫煙の受忍を求める判決を下したり、自らの主張に合理性があることの説明責任を放棄した側を勝たせたりした(JR側が半沢からの求釈明への回答を拒否したことを咎めなかった)ことが、いずれも憲法違反や手続違反などには当たらないと判断したことを意味している

2023年
(令和5)

9月30日
(土曜日)

この日発行された交通権学会誌『交通権』第40号に本件訴訟についての研究ノート「新幹線の喫煙ルームの廃止を求めた訴訟で見えてきたJRの企業体質の問題点―「受動喫煙の害に晒されることなく目的地まで移動できる権利」が実現しない理由―」が掲載される

2023年
(令和5)

10月17日
(火曜日)

JR東海、JR西日本、JR九州の3社が、2024年春に新幹線列車内の喫煙ルームを全廃することを発表。JR西日本は山陽新幹線各駅ホーム上の喫煙コーナーも全廃すると発表(廃止する喫煙コーナーは煙を遮る壁を設けないタイプの物のみで、コンテナ式の喫煙コーナーは引き続き存置)

2024年
(令和6)

1月10日
(水曜日)

近畿日本鉄道が、有料特急列車内に設置していた喫煙ルームを本年3月1日から(2月29日限りで)全廃すると発表。これにより、JR以外の国内の私鉄では全社全線全列車で完全禁煙となる

2024年
(令和6)

3月16日
(土曜日)

この日のJRグループダイヤ改正に合わせて、東海道〜山陽〜九州新幹線の全車両の喫煙ルームが閉鎖され、全列車完全禁煙とされる。この日以降、列車内で喫煙できるのは夜行寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」の一部車両のみとなる