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2007年6月4日


北千住駅 喫煙場所周囲の受動喫煙曝露に関する報告書


目的:北千住駅東口、西口の喫煙所周囲において受動喫煙が発生している、という指摘に基づき、喫煙所周囲の禁煙区域における受動喫煙の実態について調査をおこなった。

方法:タバコ煙の濃度は、デジタル粉じん計(柴田科学、LD-3K2)を用いて、喫煙場所およびその周囲の禁煙区域における粉じん濃度の測定をリアルタイムモニタリングをおこなった。質量濃度換算係数は0.0008(mg/m3)/cpmを用いた。

測定日:2007年5月22日

結果:2頁に東口の喫煙所およびその周囲の禁煙区域におけるタバコ煙濃度の測定結果を、3頁に西口の測定結果を示す。いずれの測定においても、喫煙場所で発生したタバコ煙が明らかに禁煙区域にまで拡散していることが認められた。

考察:植栽による喫煙場所の区画では、受動喫煙を防止するためには不十分であり、喫煙場所の撤廃を含めた対策が必要であることが認められた。
なお、厚生労働省が「職場における喫煙対策のためのガイドライン」で示している0.15mg/m3は喫煙室内部の環境を評価する際の基準である。
ガイドラインでは「非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの流入を防止する」ことが求められている。つまり、禁煙区域においては粉じん濃度が上昇することが問題である。

産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室
教授 大和 浩(自筆署名・印)

 

北千住駅東口 喫煙場所測定

矢印@は喫煙場所の粉じん計(下のグラフでは測定値を赤で表示)を、矢印Aは禁煙区域の粉じん計(同じく青で表示)を示す。

測定終了後の5分間、タバコ煙で汚染されていない空気の測定をおこなった。

 

北千住駅西口 喫煙場所測定

矢印@は喫煙場所の粉じん計(下のグラフでは測定値を赤で表示)を、矢印Aは禁煙区域の粉じん計(同じく青で表示)を示す。

測定の前後2分ずつ、タバコ煙で汚染されていない空気の測定をおこなった。

 

大和 浩(やまと ひろし)
現職:産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室 教授
 昭和61年産業医科大学卒。呼吸器内科(6年間)を経て、労働衛生工学研究室にて人造鉱物繊維(アスベストの代替繊維)の生体影響、効果的で安価な作業環境改善、職域における喫煙対策、社会生活における受動喫煙対策(飲食店、JRの特急や新幹線)の調査と評価について研究。平成18年より現職として、有酸素運動による健康増進の効果について研究。医学博士、労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。
  HP:
http://tenji.med.uoeh-u.ac.jp/


やまと ひろし
大和 浩    昭和35年生まれ  47歳(平成19年4月現在)
現   職:産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室 教授

昭和61年  産業医科大学医学部卒業
平成10年  産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学研究室 助教授
平成18年  産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室 教授

資格   平成6年   医学博士、労働衛生コンサルタント
     平成16年  日本産業衛生学会 指導医

主な研究領域
1)有酸素運動による健康増進
2)安価で実行可能な粉じん対策,有機溶剤対策,騒音対策
3)職場における喫煙対策
 ア)受動喫煙対策:全館禁煙の導入と煙が漏れない喫煙室・コーナーのデザイン
 イ)健診の事後措置としての禁煙サポート
4)わが国における喫煙対策のサーベイランス

著書
「喫煙の科学―職場の分煙テキストブック」(共著)労働調査会
       産業医科大学産業生態科学研究所編著
「HOW TO 喫煙対策」中央労働災害防止協会
所属学会:日本産業衛生学会、日本労働衛生工学会、日本公衆衛生学会


プロフィール:
 産業医科大学卒業(昭和61年)後、呼吸器科に入局。筑豊のじん肺患者を多数診察。職業性疾病を予防するための作業環境管理の重要性を痛感し、労働衛生工学に移籍。粉じん・有機溶剤対策に従事し、局所排気と全体換気について修練。その経験を煙の漏れない喫煙室・喫煙コーナーのデザインに応用。同時に自分自身も8回目のチャレンジで禁煙達成。職域における総合的な喫煙対策(受動喫煙対策と禁煙サポート)の介入効果について研究をおこなう。現在は、定期的な運動による健康の保持増進の効果について研究中。
喫煙対策および作業環境改善の成果は下記のホームページで公開中。
http://www.tobacco-control.jp/
http://tenji.med.uoeh-u.ac.jp/

以上