2017年12月18日
107-8460 東京都港区赤坂4丁目810
電話  03−5414−0211(代表)
株式会社 東北新社
代表取締役社長
植村

XXX-XXXX ●●●●●●●●●●●●
自宅電話  ●●−●●●●−●●●●
(家庭の事情により、つながりにくい)
(留守電、携帯、FAXは無)
E-mail: HP掲載を省略)
●●●●(自筆署名)


御社社員による差別的取扱(人権侵害)についての被害届と質問状

 突然のお便り失礼します。
 私は、今月7日に開かれた、映画「きみの声をとどけたい」(以下「きみ声」と言います)のファンが集まるイベント「日ノ坂町民の集い」(以下「集い」と言います)に参加しようとしたところ、携帯電話を持っていないというだけの理由でチケットの購入を阻まれ、参加させてもらえなかったという不利益=差別を受けた者です。
 この件について、御社社員の対応方を含む事実経過をご報告すると共に、本件に対する御社の見解を明らかにしていただきたく、お便り差し上げた次第です。

1.事実経過

(1) 問題の経緯

 上記「集い」が開催されることについては、本年11月15日に「きみ声」の公式ホームページで告知されました。
 その記事では、「集い」に参加するためのチケットは、11月18日(土曜日)からチケット販売代行ウェブサイト「e+」(イープラス)で販売を開始する旨が案内されていました。
 また、ツイッターの「きみ声」公式アカウントでは、チケット発売開始時刻が18日の正午からである旨も告知されていました。
 そこで私は、18日の11時40分頃から自宅のパソコンで、購入手続きのための操作を始めました。
 イープラスでは、チケットの購入手続きをするには、前段として同社への無料会員登録を行う必要があるとのことで、私はまずその手続きを進めようとしました。
 ところがその途中で、SMS認証(ショート・メッセージ・サービス、携帯電話で受信したコード番号をウェブブラウザに手入力することで携帯電話番号と紐付けた本人確認を行うシステム)をパスしないと会員登録ができず、ひいては「集い」のチケットも購入できないことに、初めて気づいたのです。
 私は携帯電話を持っていないため、このままでは「集い」に参加することができません。
 そこで私はただちにイープラスへ、携帯電話を持っていない人がチケットを購入できる方法が何か無いかについて問い合わせるメールを送りました【添付資料1−2、3】。
 私は当日は13時30分から21時15分までの勤務だったため、このメールを送信してすぐ出勤し、帰宅後の22時過ぎにイープラスからの回答のメールを確認しました。
 このメールには、転売目的での購入防止のため携帯電話を持っていない人には会員登録〜チケット購入をお断りしている旨と、予約だけして期限までに支払い手続きをしなかったキャンセル分が出れば22日(水曜日)の10時から携帯電話なしでもFamiポートで購入できる旨とが記されていました【添付資料1−4】。
 また第三者によるツイッターへの投稿によれば、18日の15時56分の時点ではまだ僅かに空席が残っていたようですが、私が勤務から帰宅した22時台にはチケットは既に売り切れてしまっていたようでした【添付資料4−3および2】。

(2) 私が御社の担当者へ救済措置を求めた行動と、御社社員の反応などについて

 私は11月20日(月曜日)に御社の「きみ声」製作委員会宛に速達扱いの郵便(レターパック)を送りました。
 その要旨は、上記の経過を報告した上で、携帯電話を持っていないというだけの理由で「集い」に参加させてもらえない(チケットを買わせてもらえない)ことへの疑問を指摘し、チケットのキャンセルが出た場合には私が優先的に購入できるよう救済措置を求めるものでした【添付資料3】。
 その際、私が18日正午の発売開始時点でチケットを購入する意思があった(売り切れた後になってから購入を思い立ったのではない)ことの証拠として、イープラスから受信した仮会員登録完了通知メール(引き続きSMS認証へ進むためのURLを記載したもの)や、携帯電話なしでもチケットを購入できる方法についての問い合わせのメールをイープラスが受信したことの確認メール、およびイープラスからの回答のメールなどのプリントアウトも同封しておきました【添付資料1−1、2、4】。
 しかしイープラスから情報提供いただいた、キャンセル分が発生した場合の再発売日時である22日の10時までには、御社の担当者からの連絡は何も届きませんでした。
 そこで私は、自宅最寄りのファミリーマートで、22日の午前10時の時報に合わせて「集い」のチケットの空席照会を試みましたが、キャンセルが出なかったのか他の人に先を越されたのか、表示は×(売り切れ)のままでした。
 その後、私は翌24日、ツイッターの「きみ声」公式アカウントで「集い」向けの質問やメッセージをダイレクトメッセージで募集しているのを利用して、レターパックの到着確認と救済措置を求める主旨のダイレクトメッセージを、10時45分頃、11時31分頃、12時51分頃の3回にわたり送信しました【添付資料4−1〜3】。
 これに対して、同日の14時21分に「東北本社キミコエ担当」名義(担当者の氏名や所属部署等の記載は無し)で、私のツイッターのアカウント宛にダイレクトメッセージが届きました。
 しかしその内容は「今回の問題は故意に起こしたことではなく、また携帯電話が無いためチケットを買えなかった人が他にもいる可能性がある以上、あなただけを特別扱いできませんのでご理解をお願いします」と、携帯電話を持っていない人に不利益(我慢)を強要する差別的取扱を一方的に正当化するものでしかありませんでした【添付資料5】。
 その後、29日の12時01分にも、私のツイッターアカウント宛にダイレクトメッセージが届きました(今回も「東北本社キミコエ担当」名義で担当者名等の記載は無し)。
今度は、携帯電話を持っていないだけの理由で「集い」のチケットを買えないのは不公平であることを認めた上で、Famiポートなら携帯電話無しでもチケットを買えることの告知がわかりやすくできていなかったことを謝罪する内容でした【添付資料7−1】。
 この2回目の回答で初めて私の本名が明記されていたため、この担当者は24日の回答を送信した後に私からのレターパックを受け取り、それを見て29日に再び回答を送ってきたのだろうと推定できます。
 29日の22時39分にも再びダイレクトメッセージが届き、イープラスから1席だけキャンセルが出たため翌28日の10時から販売する旨の連絡があった、Famiポートなら携帯電話無しでも購入できるのでご検討を、とのことでした【添付資料7−2】。
 しかし私がツイッターのアカウントにログインして29日夜のダイレクトメッセージに気づいたのは12月1日の朝で、その時には既にキャンセル分のチケットは他の人に購入されてしまった後でした。
 結局、私は、携帯電話を持っていないというだけの理由で「集い」のチケットを購入し損ね、ひいては「集い」から仲間外れ・のけ者にされるという不利益=差別を受け、馬鹿を見る(不快な思いをさせられ精神的苦痛を受ける)結末となってしまったわけです。

2.本件事案の問題点

(1) 私が携帯電話を持たない理由と、関係する法令について

 今日、日本国民の大多数が携帯電話を持っていることは、私も承知しています。
 そうした時代にあっても私が携帯電話を持たずにいるのは、2006年の暮れに電車の優先席で携帯電話を使っていたのを注意して逆ギレした相手から腹いせの暴力行為を受けるという犯罪被害を受けたことがきっかけで、携帯電話に嫌悪感を抱くようになったからです(当時は携帯電話機が出す電波が心臓ペースメーカーなどの医療機器を誤作動させるおそれがあるとして、各鉄道会社は優先席付近では携帯電話の電源を切るよう呼びかけていました)。
 一方で、日本国憲法をはじめとする国内の法令に、国民に携帯電話の所有を義務づける旨の定めや、携帯電話を持たない人に対して何らかの不利益な扱いをするのを容認する旨の定めなどがあるという話は、私は寡聞にして知りません。
 また憲法第14条では法の下の平等(信条などによる差別的取扱の禁止)が定められています。
 ここで言う「信条」とは、誰かが携帯電話を持つべきか否かの考え方についても、当然に適用されるべき性質のものです。
 以上のことから、私が携帯電話を持っていないというだけの理由で「集い」から排除されてしまったことが、違法な差別的取扱=人権侵害であったことは明らかです。

(2) 御社の担当社員が取った行動の問題点

@Famiポートでもチケットを購入できることの告知を怠っていた問題

 29日の12時01分に御社の担当者から届いたダイレクトメッセージには、Famiポートでもチケットを購入できることを「わかりやすく告知できていなかった」と記されていました。
 しかし、その告知が「わかりにくい」なりにでも何かしら行われていたのでしょうか?
 私が調べた範囲では、一切、何も行われていませんでした。
 ですから「わかりにくかった」のではなく「失念していた」(忘れていた、もしくは必要性を感じていなかった)怠慢があったと考えるべきです。
 多分、この担当者をはじめとする御社のスタッフ全員が、自分の回りの誰もが携帯電話を持っているのが当然という環境で日々の生活を送っているため、コンビニ(Famiポート)へ足を運ぶ必要の無いイープラスのほうがチケットの購入に便利だと考えた結果、携帯電話を持っていない人への配慮(イープラスでSMS認証の問題が生じてしまうことやFamiポートでもチケットを購入できることの告知が必要なことなどへの認識)が、頭の中からすっぽりと抜け落ちてしまっていたのではないでしょうか。
 つまり、近年、携帯電話を持っている人の発想・論理で社会の様々な仕組みが構築されてきた結果、携帯電話を持っていない人が社会から排除・差別されてしまうという状況が、故意か過失かを問わず、社会の様々な場面で次々と発生してきているわけです。
 例えば本年9月1日付で「きみ声」公式ホームページで告知された「舞台めぐりフォトコンテスト」も、携帯電話を持っていないと参加できない、つまり携帯電話を持っている人にしか賞品(非売品のアフレコ台本などファンなら是非とも入手したい物多数)を提供しないという差別を孕んだ企画であり、この時も私は蚊帳の外に置かれたことによる不快な思いを強いられました。
 今回の「集い」の件も、御社の担当者の「誰でも携帯電話を持っているのが当然」もしくは「今どき携帯電話を持っていないほうがおかしい」という思い込みに基づいて企画が進められた(チケット販売が行われた)結果、生じた問題だと言えるのではないでしょうか。

A11月29日に出たキャンセル分を漫然と一般発売に回した問題

 御社の担当者が、11月29日の夜にイープラスから「集い」のチケットのキャンセルが1枚出たとの連絡を受けた時点で、そのことを私に知らせる配慮をしてくださったことそれ自体には、私は感謝しています。
 しかし、携帯電話を持っている人ならリアルタイムで着信メールを読むことができるのかもしれませんが、パソコンで複数のメールアドレスを使い分けている場合は、メールが届いていることに気づくのが、どうしても遅れてしまいます。
 ましてや私は11月24日の11時31分頃にツイッターの「きみ声」公式アカウント宛に送ったダイレクトメッセージで「私がツイッターアカウントにログインするのは隣町のインターネットカフェでだけのため連絡に気づき返事をするのに多少日数がかかる場合があります」旨を、御社の担当者へ通知済みです。
 にもかかわらず御社の担当者が、私から返事があるかもしれない2〜3日程度、キャンセル分の再発売を保留するようイープラスへ依頼するのを怠り、翌朝10時に不特定多数の人へ再発売するのを漫然と黙認してしまうようでは、他の人に先を越され私がチケットを購入できない可能性がきわめて高いのは、わかりきったことです。
 御社の担当者は「メールをチェックするのが遅いお前のほうが悪い」と言うのかもしれませんが、私からすると、これも携帯電話を片時も離さない(離せない)生活をしていてリアルタイムでメールをチェックできるのが当然という価値観に取り憑かれた、携帯電話依存症とでも呼ぶべき人の論理であるように映ります。

3.御社への質問

 本件事案による被害からの回復、および再発防止策として、以下の3項目を要望したく存じます。
 これらの可否およびその理由などについて、御社の見解をご回答願います。

(1) 関係者への懲戒処分

 本件事案に限らない一般論として、何か悪いことをした人に対しては、悪さの程度に見合った処罰を下さなければ、その人は反省せず、同じ悪いことを平然と繰り返してしまうものです。
 ましてや本件事案では、私が御社の担当者へ本名や住所・メールアドレス等の個人情報を開示しているにもかかわらず、御社の担当者は私へのメッセージで「東北新社キミコエ担当」としか記さず匿名での対応(責任逃れ)に終始しており、フェアではありません。
 このままでは今回の問題に係る責任の所在が不明確なまま幕引きとされ、この担当者は喉元過ぎて熱さを忘れた頃に、再び類似の問題を繰り返し発生させてしまうおそれがあります。
 ですから、今回の問題が起きてしまった原因と責任の所在とを社内調査によって明らかにし、その上で調査結果の公表と関係者の処分とを行わなければ、再発防止策を確立したことにはならないのではないでしょうか。

(2) 全国紙への謝罪広告の掲載

 御社の担当者が11月24日付で私宛のダイレクトメッセージにも記載していたとおり、携帯電話を持っていないために「集い」のチケットを買えなかった人は(私や御社が把握していないだけで)私以外にも存在している可能性があります。
 御社の担当者がそのように認識している一方で、もしも御社が今回の件について私1人だけに謝罪して問題を幕引きにしてしまうのだとしたら、それは御社が私以外の被害者には謝罪しなくてよいと考えている理屈になり、問題があると言わざるを得ません。
 御社が携帯電話を持っていない人への人権に対する配慮を欠いた業務を行っていたことを、会社として広く社会に認め自己批判する姿勢を示さなければ、私もですが、私以外の被害者も納得できないと思われます。
 確かに、全国紙に謝罪広告を掲載するのは御社のメンツ(社会的評価・信用)に関わることであり、行いたくないと御社が考えるであろうことは、私にも容易に理解できます。
 しかしだからといって御社が「臭い物に蓋」を決めつけてしまうとしたら、それは御社に(「集い」の担当社員だけでなく会社全体として)「携帯電話を持っていない人に不利益を強いる(差別する)のは悪いことではない」という、差別=人権侵害を正当化する企業体質があることを自己暴露することになってしまうのではないでしょうか。

(3) 精神的苦痛に対する慰謝料の支払い、もしくはそれに代わる物品の提供

 今回の問題で私が受けた精神的苦痛に対して御社が慰謝料を支払うことの是非や、その場合の金額は何円位が妥当かについては、意見が分かれるところでしょう。
 そもそも、私は慰謝料(カネ)が欲しくてこのような文書を御社へ送ったのではありませんし、また精神的苦痛の程度とは金額という尺度で測れる性質のものでもありません。
 しかし、だからといって、御社が私に対して何の償いもしないまま問題を幕引きにするのが許されてしまうとしたら、御社(の社員)が「殴りっぱなし」で私が「殴られ損」で終わるのが正当化されてしまうことになり、社会正義に著しく反するのは明らかです。
 現に私は今回の問題による被害からの回復のために、こうして御社への書類を作成するなど今回の問題が起きなければ必要が無かったはずの余計な対応を強いられ、生活の平穏を害されているからです。
 そうした中で思いついたのが、近い将来に「きみ声」のブルーレイディスクやDVDが発売された際、御社が私にその現物を無償提供することによって、慰謝料に代えるという方法です。
 私は今回の問題が起きる前から「きみ声」のブルーレイの最上位エディション(特典・付録が最も多い物)を購入するつもりでいました。
 ですから、もしも御社が、この最上位エディションを慰謝料の代わりとして無償で提供してくださるようであれば、私の怒りも多少は収まるのではなかろうかと感じています。

 上記の3項目につきまして、2018年1月13日(土曜日)までに、書面にてご回答くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 なお家庭の事情により、電話での回答はご遠慮願います。

敬具

 

添付資料明細
・資料番号は時系列に合わせて付番しています。
・★印は11月20日付のレターパックで送付した分と同じ物です。

【添付資料1-1
1118 1147分に着信
e+(イープラス)仮登録完了のご案内 ★

【添付資料1-2
1118 1202分に送信
e+(イープラス)カスタマーセンターへの問合せ ★
(携帯電話が無い場合のチケット購入方法について)

【添付資料1-3
1118 1202分に着信
e+(イープラス)カスタマーセンターからの受信確認メール
(上記【添付資料
1-2】の問い合わせを受信したことの自動返信通知)

【添付資料1-4
1118 1854分に着信
e+(イープラス)カスタマーセンターからの回答 ★
(Famiポートでも購入可であることを初めて知ったメール)

【添付資料 2
1118 2250分に送信
NOW ON AIR公式アカウントによるツイッターへの投稿
(チケットが既に売り切れたことの情報)

【添付資料 3
1120 山形市霞城セントラル郵便局から差出し
東北新社「きみ声」製作委員会宛て文書 ★

【添付資料4-1
1124 1045分に送信
(時刻は送信時のパソコンの時計表示による。以下同じ)
ツイッターの「きみ声」公式アカウントへのダイレクトメッセージ

【添付資料4-2
1124 1131分に送信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントへのダイレクトメッセージ

【添付資料4-3
1124 1251分に送信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントへのダイレクトメッセージ
1118 1556分に送信されたtakatayoshitakeさんによるツイッターへの投稿 ★
 (チケットが残席僅かである(まだ売り切れていない)ことの情報)を含む)

【添付資料 5
1124 1421分に着信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントからのダイレクトメッセージ

【添付資料 6
1127 1543分に送信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントへのダイレクトメッセージ

【添付資料7-1
1129 1201分に着信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントからのダイレクトメッセージ

【添付資料7-2
1129 2239分に着信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントからのダイレクトメッセージ

【添付資料 8
12月1日 9時50分に送信
ツイッターの「きみ声」公式アカウントへのダイレクトメッセージ

以上

 

記事
書留配達証明郵便追跡番号と配達完了日および配達郵便局
第107−08−24497−1号
平成29(2017)年12月19日
赤坂郵便局にて配達完了

※本状に対する東北新社からの回答書は2018年1月31日現在無し。