2005年11月30日


『東武鉄道のたばこ問題2003−2004』・最新情報

東武鉄道が欠陥貫通路構造付きの800・850系を増備
および10両貫通の半蔵門線直通用新型車両の導入を発表

文責:半沢一宣

 

1.8000系を短編成化した800・850系の先頭車両に、欠陥貫通路構造を踏襲

 東武鉄道は、2004年末から2005年初頭にかけて、8000系車両の改造車である800系・850系車両を製作しました。

 この800・850系は、2006年春のダイヤ改正で旧型車両(5050系)を淘汰するための一環として、東上線で使用されていた8000系8両固定編成1本を3両固定編成×2本に改造したもの(半端の2両は廃車)です。私は2005年11月30日現在、この3両編成×6本が走り始めていることを確認しています。

 この改造では、4両の中間車が先頭車化(新たに運転台を取り付け)されました。ところが東武鉄道は、この新規に取り付けた運転台を、従来の欠陥貫通路付きのそれとまったく同じ構造のものとして製作してしまいました(証拠写真はこちら)。

 東武鉄道が、従来と同じ欠陥貫通路構造を抱えた先頭車両を増備したのは、車両構造を既存車両と統一させておいたほうが、何かと好都合と考えたためでしょう。また、この改造車両は3両単独で使用することを念頭においていて、原則的に2編成以上を併結する=貫通路を構成することを想定していないためであるかもしれません。しかし、この改造車両は、2005年8月から3両+3両の6両固定編成扱いで、伊勢崎線で営業運転への使用が開始されています。

 ちなみに東武鉄道は、この改造にあたり、野田線用8000系車両のうち常時4両+2両の6両で使用している編成の中間に封じ込められた運転台から、必要な部品を取り外して調達しています。私は、この部品を取り外されて先頭車機能を失った乗務員室部分が、撤去(客室化)されずそのまま存置されていることを伝える記事を、2005年初頭の『Rail Magazine』誌(号数失念)で読んだ記憶があります。つまり、この編成では、無用の中間乗務員室とその部分の貫通路が、その欠陥構造と共に放置され続けているわけです。

 貫通路構造に欠陥があることを自ら認めていながら、その欠陥構造を無くすどころか拡大再生産し続けるという東武鉄道の姿勢は、「この欠陥構造を原因とする、迷惑喫煙に起因する暴力事件など、様々な事件を繰り返し誘発してしまうのを未然に防止できなくてもやむを得ない、構わない」という「未必の故意(殺意)」を正当化した以外の、何物でもありません。それは同時に、「自分と同じ理不尽な被害に遭う人を二度と出さないでほしい」という、あらゆる事件や事故の被害者に共通する感情を、公然と踏みにじるものでもあります。

 私は、この欠陥貫通路構造を悪用した迷惑喫煙者に抗議して腹いせの暴力行為を受けた経験がある被害者として、このような欠陥構造を有した車両を今なお製作し続けている東武鉄道を、厳しく非難したいと思います。


2.東京メトロ半蔵門線〜東急田園都市線直通列車に、10両貫通の新型車両を導入

 東武鉄道は、2005年10月24日に同社ホームページで、2006年2月ごろから東京メトロ半蔵門線〜東急田園都市線直通列車に、新型の50050系車両を就役させることを発表しました。

 この50050系車両は、2004年に東上線に就役した50000系車両に非常用前面貫通扉を設置するなど、地下鉄乗り入れ仕様にマイナーチェンジさせたものです。

 現在半蔵門線直通列車に使用されている30000系車両との最大の違いは、10両固定編成であることです。つまり、30000系では6両固定編成と4両固定編成をつないで10両編成列車として運転していたものを、初めから10両編成としているため、編成中間に乗務員室が入ることがなくなるわけです。

 東武鉄道は2006年春のダイヤ改正で、半蔵門線直通列車の増発を予定している模様です。そのために必要な直通用車両として、現在使用中の30000系でなく50050系を増備することにしたのは、技術的に進歩した車両が開発されたこともありますが、常時10両編成で運転するのであれば6両+4両の併結編成ではなく初めから10両編成としたほうが、高価な運転台つき車両の製作数を減らせて経済的だからです。つまり、仮に50050系でなく30000系を増備するとしても、6両+4両の併結編成ではなく、10両固定編成で増備することになったであろうと考えられるわけです。

 要するに、東武鉄道が今回30000系ではなく、50050系を増備することとしたのは、純粋に車両性能や経済性などの理由からであって、欠陥貫通路構造の問題はあまり意識していなかったのであろうと推察されます。もしも東武鉄道が、欠陥貫通路構造への問題意識を持っているのであれば、800・850系車両を改造製作するにあたって、従来と同様の欠陥貫通路構造を導入するはずがないからです。

以上