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日本の特急列車のバリアフリー設備・写真と解説
(2011年1月1日現在)

※2019年5月22日(水曜日)レイアウトと解説文を修正しました。

©半沢一宣


1.車いす対応座席など

@東海道・山陽新幹線N700系「のぞみ」11号車の車いす対応座席。
ひじ掛けを跳ね上げられるようにして、車いすから(車いすへ)の乗り移りがしやすいよう配慮されている。
腰掛けの下に車いす固定用ベルトが見える。

※調査記録
 2012年5月27日(日曜日)
 東京6時00分発「のぞみ1号」(JR東海Z5編成)
 車両番号・11号車=786−705(製造年・メーカー名は不明)

A東北・上越新幹線E4系(オール2階建て8両編成)「MAXやまびこ」「MAXとき」などのG号車(グリーン車)の車いす対応座席。
ひじ掛けが跳ね上がらない代わりに、通路向きに回転させることができる。

BE4系8号車の車いす昇降用リフト。他の号車にも設置されている車内販売ワゴン用のリフトを、8号車だけ車いすでも利用できる構造(寸法)にしたもの。

※ABの調査記録
 2007年9月30日(日曜日)新潟6時58分発「MAXとき304号」
 車両番号・8号車=E444−26(P81編成、2003年・日立製)

C名古屋鉄道1600系(当時、現在は1700系に形式変更)2・5号車の車いす対応座席を通路向きに回転させ、更にひじ掛けを跳ね上げた様子。
車いす固定ベルト(矢印@)や非常通報器(矢印A)も見える。
全国的には、ひじ掛けが跳ね上がるか通路向きに回転するかのどちらかだけである座席のほうが、圧倒的に多い。

※調査記録
 2007年10月10日(水曜日)吉良吉田7時30分発佐屋行き第285列車
 車両番号・5号車=サ1653(1999年・日本車両製。現在はサ1753に
 改番)

D南海電気鉄道の関西国際空港アクセス特急「ラピート」3号車の車いすスペース。
通常の座席1脚(2席)を撤去した広さに相当する。
この列車では、共用設備はトイレを含めてすべて車いす非対応構造。

※調査記録
 2007年10月10日(水曜日)難波20時30分発「ラピートβ69号」
 車両番号・3号車=サハ50603(1994年・東急車輌製)

E秋田内陸縦貫鉄道の急行「もりよし」用AN−2001号の車いすスペース。
跳ね上げ式の座席とカーテンの使い方を工夫することで、急病人の休憩や授乳など多目的室的な利用にも対応できる、他に類例のない構造となっている。

※調査記録
 2007年8月31日(金曜日)角館16時28分発普通228D
 (「もりよし3号」の折り返し列車)
 車両番号・AN−2001(2001年・新潟鉄工製)

FJR東海・JR西日本285系寝台列車「サンライズエクスプレス」2・9号車の車いす対応個室寝台で、ベッドの一部を跳ね上げ、車いすが入れるスペースを作った状態。
ベッドを元に戻しても、右側の階段(上段ベッド用)との間に車いすを折り畳んで収納できるスペースが残る。ただし、折り畳めない電動車いすには対応していない。
これ以外にも、画面の左側・ベッドと壁の間にも車いすを折り畳んで収納できるスペースがあり、そちらには車いす固定用のロープも設置されている。

※調査記録
 2007年10月9日(火曜日)東京22時00分発「サンライズ瀬戸号」
 車両番号・2号車=サハネ285−202
 (JR西日本I2編成、1998年・近畿車輛製)
※再調査記録
 2009年10月29日(木曜日)東京22時00分発「サンライズ瀬戸号」
 車両番号・2号車=サハネ285−3202
 (JR東海I5編成、1998年・日本車両製)


2.多目的室

@東海道・山陽新幹線N700系「のぞみ」J号車の多目的室。
改良型ハンドル形電動車いす(シニアカー)を収容できる広さが確保されている。
枕を取り外して座面と背もたれを手前に引き出すと、急病人の休憩などに利用できるベッドになる。

AN700系の多目的室の座席をベッドに転換する操作方法を説明したステッカー。

BN700系の多目的室のドアに貼られている、案内表示のステッカー。
右下には点字での案内も見えている。

※@〜Bの調査記録
 2007年9月24日(月曜日、秋分の日の振替休日)
 東京12時50分発「のぞみ29号」(JR東海Z4編成)
 車両番号・J号車=786−704(2007年製・メーカー名は不明)

C東海道・山陽新幹線700系「のぞみ」11号車の多目的室のドアに貼られている、案内表示のステッカー。

※下記「飲料自動販売機」の@と同じ列車で調査

D東海道・山陽新幹線500系「のぞみ」11号車の多目的室の内部。
山陽新幹線500系「こだま」7号車の多目的室も同一構造。

E500系「のぞみ」多目的室の跳ね上げ座席を引き出す操作方法を説明したステッカー。

※DEの調査記録
 2009年11月2日(月曜日)
 博多12時00分発「のぞみ28号」(JR西日本W7編成)
 車両番号・11号車=527−707(製造年・メーカー名は不明)
 (新大阪駅到着前に多目的室の乗客の協力を得て撮影)

F東海道・山陽新幹線500系「のぞみ」11号車の多目的室のドアに貼られている、案内表示のステッカー。点字での案内も見える。

※下記「公衆電話」の@と同じ列車で調査

G東北・秋田新幹線「こまち」用E3系11号車の多目的室。
左手前の腰掛け(矢印@)を跳ね上げると車いすのまま入室できるスペースになり、右奥の腰掛け(矢印A)の座面と背ずりを引き出せば左手前の腰掛けと組み合わせて簡易ベッドとなる。
電動車いすの普及率がまだ低かった時代の、JR特急列車の多目的室の標準的な構造。

※調査記録
 2007年2月24日(土曜日)秋田12時01分発「こまち16号」
 車両番号・11号車=E311−1
 (R1編成、1995年製、メーカー名は失念)
 (多目的室を商品倉庫代用としていた車内販売乗務員の協力を得て撮影)

H山陽新幹線100系「こだま」3号車の多目的室の内部。
車いすのまま入室できるよう、通常はこの状態でセットされている。
窓の下に折りたたみテーブルも用意されている。

I上のHから腰掛の座面と折りたたみイスを引き出し、簡易ベッドとした状態。
寝たきりの人が乗車する場合や急病人の休憩には、この状態で使用する。

※HIの調査記録
 2011年1月3日(月曜日)新大阪10時39分発「こだま743号」
 車両番号・3号車=125−3757(編成名・製造年・メーカー名は失念)
 (東広島駅停車中に車掌の許可を得て撮影)


3.トイレ

@東海道・山陽新幹線N700系「のぞみ」11号車の多機能トイレ。
ベビーベッド(矢印@)とベビーチェア(矢印A)をセットした状態。
オストメイト用設備はベビーベッドの左側にある。
喫煙すると火災報知器が作動する旨の注意書き(矢印B)と煙感知器(矢印C)も見える。

AN700系11号車多機能トイレのオストメイト用設備。
パウチ(汚物を貯めておく袋)洗浄用の水タンクの容量が小さい関係で「手洗い用ではありません 洗面所をご利用ください」という注意書きのステッカーが貼られている。

※@Aは上記「多目的室」の@〜Bと同じ列車で調査

BJR東海・JR西日本285系「サンライズエクスプレス」2・9号車の車いす対応トイレ。
新幹線を除くJR特急列車の車いす対応トイレの標準的な構造。ただし、ベビーベッドとベビーチェアは、設置されている列車と設置されていない列車とが入り乱れている。

※Bは上記「車いす対応座席など」のFと同じ列車で調査


4.洗面所

@JR東海・JR西日本285系「サンライズエクスプレス」2・9号車の車いす対応洗面所。
間口が広く、足元に蹴り込み用の空間が確保されている。
車いす対応座席最寄りの洗面所も車いす対応構造とされている特急列車は、全国的には少数派である。

※上記「車いす対応座席など」のFと同じ列車で調査


5.公衆電話

@東海道・山陽新幹線500系「のぞみ」12号車の電話室。
他の号車の電話室に比べて間口が広く、電話機設置台の位置(高さ)が低い。ただし、車いすのまま中に入って折戸を閉められるほどには広くないため、折戸を開けたまま車いすの前半分だけを電話室に突っ込んだ状態でしか通話できない。

※調査記録
 2007年9月24日(月曜日、秋分の日の振替休日)
 東京6時50分発「のぞみ5号」
 車両番号・11号車=527−702
 (W2編成、1997年製・メーカー名は失念)

A長野新幹線「あさま」用E2系の8号車の公衆電話。
他の号車の電話室に比べて間口が広く、電話機設置台の位置(高さ)が低い。
かつては東北新幹線「はやて」「やまびこ」「なすの」用E2系の10号車にも同じ構造の公衆電話があったが、携帯電話の普及に伴い撤去されてしまっている。

※調査記録
 2007年3月16日(金曜日)東京6時52分発「あさま503号」
 車両番号・8号車=E224−9(N3編成、1997年・日立製)

BJR西日本北陸地区「サンダーバード」「しらさぎ」用683系の7・10号車の公衆電話(現在は撤去)。
公衆電話自体は車いす対応構造だが、車いす対応座席は9・12号車に設置されており、通路幅との関係で、実際には車いす利用者がこの公衆電話を利用するのは難しい。
全国的には、車いす対応構造の公衆電話はきわめて少なく、683系でも車いす非対応構造の公衆電話が混在している。

※調査記録
 2007年10月12日(金曜日)金沢5時10分発七尾行き普通821M
 (折り返し和倉温泉7時59分発「サンダーバード14号」の7〜12号車)
 車両番号・7号車=クハ682−502(T32編成、2001年・日立製)


6.飲料自動販売機

@東海道・山陽新幹線700系11号車の飲料自販機(現在は撤去)。
他の号車のものも同一形態。
鉄道車両搭載用の自販機としては唯一の車いす対応構造とされるが、商品選択ボタンの位置(高さ)などから疑問がある。

※調査記録
 2007年9月24日(月曜日、秋分の日の振替休日)
 東京7時33分発「のぞみ61号」
 車両番号・11号車=726−725(C26編成、2001年・日本車両製)


以上